私の色彩ヒストリー

パーソナルカラーを入り口に色彩の世界へ。
知ること、調べることは楽しい!を原動力に学会活動や色彩講師としての修練に邁進。
オンライン講義でも成果を上げる。

遠山 令子さん

色彩検定協会認定講師 第4期生
色彩講師
群馬のcolor風所属

遠山 令子さん

  • 色彩は生きていくためのエンジンのような存在。

    私にとっての色彩は、想像もしていなかった事柄や素敵な人達に次から次へと出会わせてくれる、生きていくためのエンジンのような存在です。20数年前、パーソナルカラーを学んだ私は、色彩を理論的にも理解したいと思い、(一般社団法人)日本色彩学会へ入会しました。入会後は学会の行事にはできる限り参加し、学会誌にも真面目に目を通すのはもちろん、全国大会では興味のある演題を探しては終日聴講しました。今にして思えば、 学会は参加することに意義がある、を単に実践していただけかもしれませんが、珍しいもの見たさに夢中になっていました。

  • 知りたいことを自分で解決すると
    新たな世界が見えてきた。

    そして、色彩にも検定試験があることを知ると、テキストで独学を開始。書かれてある内容を闇雲に覚えて色彩検定2、3級に合格しました。ただ、そうして一度頭に入れた単語や概念は、学会誌や講座で再度出会うたび、理解を深める手助けをしてくれました。
    また、学会の所属研究会で読んだ論文に、パーソナルカラーの診断に用いるドレープのマンセル値が掲載されているのを見て、自分が使っているカラー見本800色(写真1)のマンセル値も知りたくなって1色ずつ分光測色計で測定したことがあります。色彩について知りたいと思ったことを自分で実際に解決してみようとした最初の出来事でした。検定受験にしても測色にしても、そうした能動的な体験は、“知ること、調べることは楽しい”という新たな世界に私を導いてくれました。

    ヒストリー01
    ▲写真1
    自分で分光測色計を使って測定した800色のカラーカード
    (日本カラーミーアシーズン カラーファン)
  • 門前の小僧+修業の期間に恵まれ一歩一歩着実に成長。

    講師として人前に立つチャンスも少しずつ頂くようになったものの、まだまだわからないことだらけで緊張した日々を送っていた頃、紹介されて出会ったのが、『群馬のcolor風』という色彩研究と学びの場を主宰している大島未有希さんです。ここから私の門前の小僧+修業の期間が始まりました。強力なバックアップの下、検定対策講座に講師として関わりながら、私自身も色彩検定1級に合格。続けて色彩検定協会の講師養成講座も受講し、着実に一歩一歩私の世界が広がっていきました。

  • 色彩をわかって、
    使えるようになるための学習法を導入。

    検定対策で教える時のモットーは、「色彩をわかって、そして使えるようになること」です。例えば、最初に受講者は基本の「道具」となるPCCSの色相環とトーンを描いて覚えます。心理四原色や暖色・寒色、色光や色料の三原色、色相配色も簡単に描いて覚えます。(写真2)そして、描いて覚えたそれらの道具を次の項目へ一つ一ついもづる式に関連付けて頭の中の引出しに入れ、その数を順次増やしていくのです。問題を解くときにはどこに着目し、どの引出しを開ければいもづる式にスラスラ解けるようになるかを伝えます。昔、学習塾のCMで頭の中にぐしゃぐしゃに入っていたものがきれいに畳んで整理されてピカッと光る、というのがありましたがまさにそれです。そして、日常でも使える実践的な色彩を目指します。例えば、ファッションであれば一つの色をキーにして、まとまりのある配色をしたいときと、目立たせたいときの具体的な配色の作り方を説明します。出版やマスコミ学科の学生さんには、色彩心理の対比の時に会社のロゴが背景が変わっても、ロゴの規定の色に見せる対策法を色相環とトーン図を使って話します。
    いもづる式でスラスラ解ける覚え方は、今は絶版になりましたが、2002年に問題集として出版されました。考え方を繰り返し丁寧に伝えたいと思い、文章だけではなく図版も工夫しました。この問題集は受験者だけではなく、思いがけず教える立場の方々からも反響を頂き、今でも「この問題集で勉強して合格しました」とか「覚え方を授業で使わせてもらってます」といった言葉を頂くことがあります。

    ヒストリー02
    ▲写真2
    授業に使用している「色相環の覚え方」教材
  • コロナ禍のオンライン授業にも
    経験とノウハウを傾注。

    その後、色彩学会では理事や関東支部役員として長年運営や企画に参加し、パーソナルカラーの研究を続けていました。全国大会での研究発表のほか、2013年には資料論文として「絵の具による肌色色票作成について」が学会誌に掲載されました。その時には、我ながらよくここまで来れたものだと感慨を覚えました。
    2020年は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、色彩検定対策を担当している専門学校でも5月から急遽オンライン授業となりましたが、改訂された色彩検定テキストで私自身も頭の整理をしつつ、パワーポイントを使って授業に臨んでいます(写真3)。学生達の頑張りの甲斐もあって、昨年の冬期検定は良い結果となりました。
    講師養成講座で感銘を受けた「講師とは勉強をする仕事」という言葉を肝に銘じながら、これからも色彩の魅力を発信していきたいと思っています。その道程で何が待っているのかを楽しみにしながら。

    ヒストリー03
    ▲写真3
    オンラインでの配色演習講座