私の色彩ヒストリー

音楽と色彩が私の人生のキーワード。好きなことを学び、体系化し、伝えることで音楽講師と色彩講師の道が開かれ、今ではアーティストとしても表現の幅を拡張。

矢野 文子さん

色彩検定協会認定講師 第18期生
アーティスト

矢野 文子さん

  • 好きなことを仕事にしていきたいと決心、音楽講師になり、さらに色彩講師にも。

    20代の頃は今とは全く異なる仕事をしていました。OL経験は約2年半。それ以降は自分の好きなことを仕事にしていきたいと決心し、今に至っています。ブライダル会場やレストランでのBGM演奏などの音楽の仕事を皮切りに、ヤマハ音楽教室のシステム講師を4年ほど勤めました。その後は、自宅で小さなピアノ教室をしていたのですが、社会との接点をもっと作りたいと思ったことがきっかけで、色彩の勉強を始めました。学ぶなら徹底して学びたいと思い、色彩検定の取得に加え、色彩心理、パーソナルカラー、カラーコーディネーター養成講座、更にはメイクなども同時に学んでいきました。そして色彩検定1級に合格してまもなく、大学での資格取得のための講座を担当させていただけることになったのです。とても運が良かったと思います。音楽と色彩、分野は異なりますが、教えるということには通じるものがありました。

  • 講師養成講座で学び得たのは、手を抜かないこと、学ぶ姿勢を忘れないこと。

    しかし、実際に指導し始めると、壁にぶつかることも多く、もっと知識をつけなければと思っていた矢先、講師養成講座があることを知り、ぜひ受けてみたい! 学びたい!と、受講することにしたのです。今思い出してみても、とても密度の濃い半年間でした。
    いつも心がけていたことは課題と真摯に向き合うこと、手を抜かないことです。そのような心持ちは、全て養成講座の中で学び得ました。その時に学んだ資料は大切に保管しています。そして、今でも常に意識していることは、講師として学ぶ姿勢を忘れないことです。そして知識を体系化し、自分の中に落とし込み続けること、同時に自分の専門性を持つことを意識して講師を続けてきました。その意識を持ち続けたことが今の自分に繋がっているように思います。

  • 色がもっと好きになった、楽しかったなど、生徒たちの感想が色彩講師としての悦び。

    色彩講師として大きな悦びを感じるのは、教えるということを通してキャッチボールのように返ってくる生徒からの反応です。「優しい」「丁寧」「分かりやすい」「色がもっと好きになった 」「楽しかった」「新鮮だった」などという感想をいただくのですが、本当にそうであればいいな、そうでありたいと思っています。いつも自分がポジティブであれば必然的に掛ける言葉もプラスのメッセージになります。また、私自身の人間的な弱さも隠さず生徒に見せることで、逆に励ましてもらうこともあり、資格取得という目的を超えて、一生の中で、お互いの心に残る出会いのひとつになるように、心の通う授業を大切にしています。

  • 自分の心の表現として絵を描くように、絵の生み出す空間は人と人を繋いでいく。

    色に魅せられたからこそ「色を表現のために使う」ということを、まず自分自身が実践するようにしました。当初は気軽に色彩を楽しんでいただけるようにと、教材として絵柄を描いていました。それが自然と、誰のためでもなく、自分の心の表現として絵を描くようになっていたのです。アーティスト活動は6年目を迎えました。毎年個展も開くようになり、この1年は大阪、東京、金沢で開きました。個展では、鑑賞会というワークショップを開いてきましたが、コロナ禍になってからは、サイレント鑑賞シートに記入していただく形にしています。絵の生み出す空間は絵と人を繋ぎます。絵と人、人と人との出会いの場としてアートが奏でるものを大切に取り組んできました。こうした絵の持つ可能性について研究を進めているところです。

    • ヒストリー01
      個展でのご鑑賞風景
    • ヒストリー02
      「サイレント鑑賞」絵の鑑賞を通じて心地よい集中とリラックスの時を過ごしていただいています
    • ヒストリー03
      喋こうぼくぜ ヤノアヤコ作品展2021.11 銀座月光荘画室1
  • 本格的に美術を学ぶために美術大学へ、
    音楽と絵の繋がりにもアプローチ。

    色彩から絵の世界に入れたことは「五十にして天命を知る」の言葉通り、まさにそのように感じています。淡い繊細な色彩が持ち味なのですが、色彩が私の絵の礎であるといっても過言ではないでしょう。いつまでたっても学ぶことが好きな私は、本格的に美術を学ぶために美術大学の油絵学科へ通い始めました。専門科目に加え、造形総合科目では、彫刻や木工など幅広く受講し、表現することの悦びが広がっています。また、実技だけではなく、哲学、心理学などの文科総合科目が大変面白く、積極的に履修しています。色彩講師として教える立場でもあり、美大生として学ぶ立場でもある今、この環境に感謝しつつ過ごしています。現在はアーティストとしての時間が多くなってきていますが、私のように色彩から専門性を身につけたり、持ち味を広げたりする方々の力になれるよう、色彩講師としての仕事はこれからも続けていきます。また、表現における音楽と絵の繋がりにもアプローチしているところで、まだまだいろいろなチャレンジが続いていきそうです。

    • ヒストリー04
      描いた絵を用いてオリジナルッグッズを制作・販売しています