情報工学を学ぶ中で、Webサイトのイメージやアプリの使いやすさが色で大きく変わることに着目。システム開発の現場で色の知識を活用・共有しながら、色に強いシステムエンジニアとして独自のポジションを確立。
色彩検定協会認定講師 第19期生
システムエンジニア
原田 直己さん
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Webサイトやアプリを構築する中で「色」と出会う。
私は学生時代に情報工学を専攻しており、色とは全く関係の無い分野で生活していました。しかし、Webサイトや授業で画面操作のあるアプリケーションを構築した際に、『使用する色によって画面のイメージや使いやすさが大きく変わるな』と気づきました。それが色を学ぶきっかけでした。同じ授業を受けているはずなのに出来上がるアプリケーションの見た目は人それぞれで、他の人よりもっと使いやすくて見やすいデザインや配色とは何だろうかと勉強するうちに、どんどん色に興味を持つようになり、卒業するまでに色彩検定3級・2級などの資格を取りました。ただ、この頃はあくまで自分の知識・学びを増やしたい、好きな色について知りたいという気持ちが強く、趣味のようなものとして色に触れているだけでした。
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「色彩講師の資格を持っています!」と社内で自己PR。
卒業後は、専攻していた分野を生かせるメーカー系SIer(システムインテグレーター)の会社にシステムエンジニアとして就職しました。裏方のシステム開発業務などを担当することになり、しばらくは色を忘れて過ごしていましたが、様々なお客様のプロジェクトを担当する中で、次第に他の人に勝る自分の強みを手に入れたいと考えるようになりました。そのときに思いついたのが学生時代に触れていた「色」でした。せっかくなら突き詰めてみようと色彩検定の1級を取得。色彩検定協会から送られてきた案内を見てすぐに色彩講師養成講座にも申し込み、色彩講師の資格を取得しました。当時は仕事もかなり大変な時期でしたが、何とか講座を走りきることができ、色に対する自分の情熱にも気づきました。それからは社内で自己紹介などの際に色彩講師の資格を持っていることをアピールポイントとして売り込み、「色の知識がある社員」として認識してもらえるように努めました。
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デザインスキルのあるエンジニアとしてプロジェクトに参加。
その活動の甲斐もあってか、会社の経営層から「関連のデザイン会社で進めているプロジェクトに、色やデザインがわかるエンジニアとして参画してみないか」と声をかけていただき、デザイン開発業務に従事することになりました。当時、エンジニアは技術力という印象が強く、デザインにも触れたことがあるエンジニアという人材は少なかったと思います。それまでのシステム開発とは全く異なる仕事環境の中、開発技術だけではなく、最先端のデザインや色などについての知識を深めると同時に、私が得てきた知識をメンバーたちと共有するため積極的な発信も行いました。そして社内でも開発技術の仕事だけではなく、資料デザインの相談や修正依頼を受けることも多くなりました。実際にそれらの成果物が評価されることになり、より一層「色」に愛着を持つようになりました。
その後、同社で新たなビジネスを立ち上げるミッションを担い、様々な企業へ資料を持ち込み、提案や企画などを行うようになりましたが、そこでもこれまで身に付けたスキルを活かすことになりました。 -
本業と並行して
美容系専門学校の色彩講師も務める。現在はエンジニアとして総合ITベンダー会社でお客様のシステム構築を担当していますが、2年ほど前に美容系の専門学校で外部講師をしてほしいという依頼を受けたのを機に、本業と並行して色彩学を教えています。授業は色単体ではなく、ヘアメイクやネイルなどで色をどう活用するかをベースに組み立てています。なるべく実践で使える知識となることを目標に、私の過去の経験から実際の活用シーンも振り返りながら内容を考えていますが、なかなか難しい部分もあり、私自身まだまだ様々なことを学んでいかなければと痛感しています。今後も、学生たちに色への興味を持ってもらいながら、実践的なこともより伝えられるようにしたいと思っています。
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技術力とデザイン力を併せ持った
エンジニアとして。システムエンジニアと色はあまり結びつかないようにも思われるかもしれませんが、画面操作のあるアプリケーションであれば、そこには必ず画面デザインや色が関わってきます。特に現代はスマートフォンアプリのように多くの人が日常的にアプリケーションに触れており、エンジニアとして開発技術以外も求められる時代になっています。今後も技術力とデザイン力を複合して考えることができるエンジニアとして様々なことに挑戦していきます。